展示:Future Beauty 日本ファッションの未来性

インタビュー 展示

Future Beauty 30 years Japanese Fashion

東京都現代美術館で開催中の「Future Beauty 日本ファッションの未来性」展に行ってきました。



信じられないほどのボリュームで圧倒されました!なんてことはありませんでしたが、楽しめました。

メインの3階企画展示室からエスカレーターで2階に降りた休憩スペースで、山本耀司、三宅一生、川久保玲それぞれのインタビュー映像が放映されています。

残念ながらまわりが騒々しく音声を聞き取ることまでは出来ませんでしたが、カメラの前で直接インタビューに答える川久保氏の貴重な(NHKの番組時は音声だけ)姿を見ることが出来ます。



コムデギャルソンがなぜ特別なのか分析するのは難しいが、すべては企業の中心となる人物の優れたヴィジョンの賜物でしょう。コムデギャルソンの中心にいるのは日本の企業には珍しい「女性」です。
川久保は非常に勉強家です。美術史の知識がある彼女にとって、ファッションとはアイディアとイメージを操ること。ほかのファッションデザイナー以上に研究熱心だと思います。歴史的視点を持ち合わせ、すべてはその無垢なるものを見いだすセンスの上に存在するのです。自分の仕事に対する勘の良さは見事ですが、顧客を見下すということをしません。

I try to concentrate on what I think is visually a good idea leaving aside questions of what else is going on in the world of fashion.
Nurturing my original idea is the important thing.

川久保のコムデギャルソンにおける感覚、そしてデザインや作品は、西欧社会を見つめながらもそれを少し揶揄するような鋭い感性がある。

「これぞ禅の世界だ」とか「着物だ」と言いたがるが、本当のところそうではない。細部を重要視するコムデギャルソンの徹底ぶりは日本的とも言えます。それは茶道などを含む日本の素晴らしい伝統にもつながるのですが、そこに民族性は関係ありません。日本人はその固定概念に反感を覚えるはずです。

Differences in culture and nationality are irrelevant, I feel but there must the some common denominators between the people who appreciate and wear my clothes.
The fact that more and more people in the West are buying my clothes is not because my designs are perceived as japanese, but rather because they strike some sort of chord with people over here as well.

川久保は慶応義塾大学で美術史を学び60年代初頭に卒業したのち、大手繊維会社の広告部に就職しますが、すぐに辞めたいと感じ、当時の日本では珍しいフリーランスのファッションスタイリストに広告用コマーシャルの撮影などをしていましたが、やがて広告に採用すべき材料が尽きてしまい、撮影用の衣装も求めているものが見つからず、自らつくったのがビジネスの始まりでした。

I make a rough sketch of the garment its shape, volume and the like and then give the sketch to the patterned.
I then give more specific instructions to him as he is actually making it up in cloth.
' I want this sort of volume here ' or ' that sort of line there ' and thus realize the style I have in mind.

彼女のファッションに臨むある種の抽象的概念は歴史にはあまり関係なく、アイディアという観点から言っても一般でいうファッションとは違ったものです。
彼女は徹底して基本に立ち戻り布の手触りや明かりの下での見え方を念頭に布をどう裁断すべきかを考えます。それはまるで建築家の苦悩と似ています。

The reason I might be compared to an architect is perhaps because I approach creations from the standpoint of an overall image in my mind and not from the standpoint of particular shapes or details.
You see I didn't train at a design school or do any specialist studies.
So it might be because I am coming at it from a different direction, that this sort of thing is said.

川久保がファッションショーを行うときは布について考えるという原点に立ち戻ります。独自の服作りを目指すことで、混ざり合った異素材が個性を放つように、そこから彼女の服作りが始まるのです。素材は何にするかという問題、それからどのように織り、どのように組み立てるか、テキスタイル工場では驚くべきことが布に施されているのを目にします。織る前に縮ませたり、プラスチックの繊維をウールと一緒に編んでみたり、ありきたりでなく、風変わりでユニークなものを生み出せるのは、常に原則に立ち戻っているからなのです。
川久保は信じられない布の作り方をします。色を変えるために55回も洗ってみたり、一部の糸を引っぱり出してみたり、布に穴をあけることを延々とやってみたりします。単に「布に穴を開ける」のではなく「穴の開いた布」を創り出しているのです。

ファション界の慣習に馴染まない川久保の考えはマーケティングにも反映されます。初期の頃、写真のための紳士服モデルはあえてアマチュアを起用していました。年老いてたるんだ皺のある顔や、白髪まじりの髪などを好んだのです。ジョン・マルコヴィッチなどのスターの起用は有名人だからという理由ではなく、現実に生きる人々が自分の服を着ていることを見せて、ファッション界の壁を壊したかったからでしょう。

It's my view that men's fashion is all about how best to project a men's individual personality through clothes.
And so, rather than using models I wanted to choose men from different fields with distinctive personalities.

このモデルの起用における革新的アプローチは、婦人服のコレクションには適用されませんでした。

With women's fashion you see there's a lot more emphasis on creating imaginative shapes.
And unlike men's clothes it's better shown off by professional models.
The starting point for men's and women's design is quite different.

川久保はファッションを超え、写真などのデザインにその領域を広げました。彼女は自身のブランドを洋服以外のものでも表現したかったのです。西洋の前衛芸術家と提携してそのテクニックを採り入れました。川久保はほかに類を見ない洗練された企業イメージを作り上げたのです。

Six とは第六感のこと、それは理解しがたい感覚・・・。
川久保が雑誌「Six」を始めた頃、これまでと違いほかのアーティスト達の作品を採用、才能ある東京出身のグラフィックデザイナー、井上嗣也氏を迎え入れたのです。彼は視覚で韻をふませるというアイディアに惚れ込み、丸ごと1ページに植物の茎があり、それと響き合うように、対のページには川久保デザインによる帽子を載せています。
彼らはファッション好きの人々向けのみならず、グラフィックデザイン的にも価値のある強烈な雑誌を世に送り出したのです。

I think that nowadays the majority of people who buy my clothes are not buying them because they like one particular piece or a particular detail but rather are buying because they like the whole mood and spirit of COMME des GARCONS.
It's the way COMME des GARCONS thinks.
It's its sense of values, it's a sort of viewpoint.
That's what I mean by spirit.
That's the core of it.
Then it becomes clothes.
All our activities are based on projecting that spirit.

  • 日本文:ディヤン・スジャック氏(Rei Kawakubo and COMME des GARCONS の著者)の発言(一部「ハーパーアンドクイーン」誌のイアン・R・ウェッブ氏)。
  • 英文 :川久保玲氏の発言。



この映像だけでも十分に行く価値があるかと。
出来れば静かな平日をおすすめします。


デザイナー:川久保玲(Rei Kawakubo)
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